浦和地方裁判所 昭和56年(わ)787号 判決 1982年2月17日
本店の所在地
埼玉県春日部市粕壁東二丁目一番四六号
法人の名称
株式会社マルヤ
代表者の住居
同市中央五丁目九番地一〇
代表者の氏名
新井誠一
本籍
同市粕壁東二丁目六一一〇番地
住居
同市中央五丁目九番地一〇
会社役員
新井誠一
昭和一〇年一月九日生
右被告人らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社マルヤを罰金一、八〇〇万円に、被告人新井誠一を懲役一年二月にそれぞれ処する。
被告人新井誠一に対し、この裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社マルヤは、埼玉県春日部市粕壁東二丁目一番四六号に本店を置き、食料品、衣料品、日用雑貨品などの販売を目的とする会社であり、被告人新井誠一は、被告会社の代表取締役としてその経営全般を掌理しているものであるが、被告人新井は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、棚卸金額の除外、架空仕入れ、仮装経費の計上等により仮名預金を設定したり債権等の簿外資産を取得するなどして所得を秘匿したうえ
第一 昭和五二年八月一日から同五三年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二、一〇〇万一九七円で、これに対する法人税額が八、四六七万二、六〇〇円であったにもかかわらず、同五三年九月二七日、埼玉県春日部市大字粕壁字浜川戸五四三五番地の一所在の春日部税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における所得金額が一億四、七六七万一、〇四五円で、これに対する法人税額が五、五三四万八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の同事業年度における正規の法人税額八、四六七万二、六〇〇円と右申告税額との差額二、九三二万四、一〇〇円を免れ、
第二 同五三年八月一日から同五四年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億二、八三九万一、八〇九円で、これに対する法人税額が一億六、七一七万五、〇〇〇円であるにもかかわらず、同五四年九月二八日、前記春日部税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における所得金額が二億九、九一一万八、八二〇円で、これに対する法人税額が一億一、五四七万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の同事業年度における正規の法人税額一億六、七一七万五、〇〇〇円と右申告税額との差額五、一七〇万四、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
1 第一回、第三回各公判調書中被告会社代表者及び被告人新井誠一の供述部分
2 被告人新井誠一の検察官に対する各供述調書
3 被告人新井誠一の大蔵事務官に対する質問てん末書(昭和五五年九月一二日付、同月一三日付、同月一九日付、同月二五日付(二通)、同月二七日付、同年一二月一二日付)
4 新井英三郎、市村貴立、鬼久保晃の検察官に対する各供述調書
5 新井英三郎、市村貴立、鬼久保晃、安彦真克の大蔵事務官に対する各質問てん末書
6 大蔵事務官作成の告発書
7 大蔵事務官作成の「架空仕入金額、水増仕入金額及び架空買掛金調査書」と題する書面
8 大蔵事務官作成の「たな卸除外及び簿外商品調査書」と題する書面
9 大蔵事務官作成の「繰上計上修繕費及び架空未払費用調査書」と題する書面
10 大蔵事務官作成の「交際費等の損金不算入額調査書」と題する書面
11 大蔵事務官作成の「仮装計上庶務費及び簿外設備調査書」と題する書面
12 大蔵事務官作成の「簿外預金等残高及び受取利息調査書」と題する書面
13 大蔵事務官作成の「売上除外金額等及び認定賞与調査書」と題する書面
14 大蔵事務官作成の「事業税認定損及び未納事業税調査書」と題する書面
15 大蔵事務官作成の「簿外現金調査書」と題する書面
16 春日部税務署長作成の昭和五五年八月一八日付証明書
17 春日部税務署長作成の昭和五六年一月一六日付各証明書
18 新井英三郎、市村貴立、鬼久保晃作成の各答申書
(法令の適用)
被告会社につき
罰条 いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項
被告人新井誠一につき
罰条 いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項
刑種の選択 懲役刑
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪に加重)
刑の執行猶予 刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
出席検察官 佐藤安宏
同 弁護人 居林与三次、伊集院實
(裁判長裁判官 米澤敏雄 裁判官 千川原則雄 裁判官 若林辰繁)